妻の四十九日の法要が終わった。

町中の小さな小料理屋を借り切って近親者だけで会食し、その場でお開きにした。

私と義母は、タクシーで郊外のマンションへ帰った。

口にしたお酒のせいか、ここ1カ月間の疲れが出たのか、車の中で2人は無言だった。

玄関を開ける。

妻のはねるような足音も、キャピキャピした声も、もう聞くことはできない。

静寂の中に取り残された、義母と私。

私は黒いスーツの上着を脱ぎ、居間のソファに横になった。

隣の和室で、短パン、Tシャツに着替えた義母が、脱いだばかりの黒服を畳んでいる。

「疲れたのね、浩二さん。ちゃんと着替えてきなさい。お茶、いれるから」

義母の声に促されて、寝室で着替えを済ませ、居間に戻った。

ダイニングからコーヒーのいい香りが漂って来た。

「そっちへ持って行く?こっちにする?」

「あっ、いくよ、そっちに」

ダイニングルームの灯りをつけ、テーブルについた。

テーブルの角をはさんで右隣に、義母がすわった。

これまで妻が座っていた場所だ。

「うわぁ~、おいしい。義母さん、コーヒー、こんなにおいしく感じるの久しぶりだよ」

ひとくち、ふた口啜り、カップを置いた。

義母は両手をコーヒーカップに添えたまま、視線を落としている。

意を決したのか、いったん口に運んだカップを受け皿に戻し、義母が口を開いた。

「ねえ、浩二さん、はっきりさせなくちゃいけないわよねぇ!

いつまでもダラダラってわけにはいかないわ。

四十九日が済んだことだし、この機会を逃しちゃ言う時期を失ってしまう。だから・・・・」

義母の言いたいことはわかっていた。

妻方の姓を名乗っていたとはいえ、義母と養子縁組をしたわけではない。

40歳という若さなんだから、再婚のチャンスはいくらでもある。

妻が死んだ今、義母の家に縛られる理由は、まったくない。

だから、家を出ていって構わない。自由にして構わない。

当然、私もこの1カ月、私の将来を気遣う義母の思いも含め、いろいろ思いを巡らした。

結論は出ていた。

義母が切り出したのを機に、私もはっきりと思いを伝えるつもりになっていた。

私を真っ直ぐに見据えて、義母が言った。

「浩ちゃん、もういいのよ。この家、出ていっていいわ。自由になりなさい!

浩ちゃん、優しいから、私が寂しがるだろうと思って『一緒にいる』って言うかも知れないけど、私は大丈夫。

まだまだ私も若いし、小さいけど会社も持ってるし、生き甲斐だってある。だから心配しないで、自分のことだけ考えて!ねっ!!」

想像していた通りだった。

返事はせず、私はコーヒーを口に運んだ。

「ねえ、浩二さん、聞いてるの。あなたはまだこれからよ。再婚だってしようと思えば、いくらでも相手はいるはずよ。

遠慮しないでいいの!!死んだ美津子だって許してくれるわ」

カップを置いた。

そして、はっきりと言った。

義母には、怒っているように聞こえたかも知れない。

「義母さん、義母さんは幾つなのっ・僕と5つしか違わないじゃない!

美津子と僕は17も離れてたけど、僕と義母さんはたった5つしか違わないんだよ!

その僕が再婚できて、義母さんはできないって理屈、ないよねっ?

・・・・そうかぁ。わかった。義母さん、好きな人がいるんだ。

その人と一緒になりたいから、僕がいると邪魔なんだ。そうなんでしょっ、義母さんっ?」

わざと邪険に言い放った。

そんなこと、これっぽっちも考えてはいない。

ただただ、義母を動揺させるために言ったのだ。

「な、何を言ってるの、浩二さん。私、私、何言ってるのか、わからない・・・」

「僕を追い出して、好きな彼と一緒にここで暮らしたいんでしょ・そう聞いてるのっ!」

しばらく無言で私を見つめていた義母の目から、大粒の涙がポロポロッとこぼれた。

「ちっが…うっっ。違うわ。違う、違うのよ、浩二さん。そんなこと、そんなこと、あるわけない。あるわけないじゃない。

どうしてそんなこと言うの・意地悪言うの・私だって、私だって、浩二さんにずっといてほしいわよ。

一緒に暮らしたいわよぉ。私も浩ちゃん好きだったし、美津子が時々うらやましかった。だけど、美津子が死んだのよ!」

「だから?だから、どうなの?」

「えっ!?だ、だから、一緒になんか住めないじゃない」

もくろみは成功した。

言わせたかった言葉を、義母は私の期待通りに口にした。

義母の手を取り、両手で包み込んだ。

義母は思わず手を引っ込めようとしたが、私はしっかりと握りしめた。

「さっき、何て言った・義母さん。さっき、何て言ったの?」

「・・・・・・・・」

「僕のこと好きって言ったよね!美津子がうらやましかったって言ったよねぇ!

ずっと僕にいてほしい、一緒に暮らしたいって言ったよねぇ!

なのに、出て行けって言うの・僕の答えを言うね。

義母さん、しっかり聞いてっ!絶対忘れちゃダメだよ、いい・僕はね、ここを出て行かない。

ぜえっっったい、出て行かない。義母さんから絶対に離れない。

義母さんが僕を好きだって言う以上に、僕は義母さんが好きっ。

美津子が死んで、そのことに気付いた。僕は義母さんを愛している。他の男になんか、絶対に渡さない」

私の手を振りほどき、テーブルに突っ伏して肩を震わせていた義母の泣き声が、号泣に変わった。

顔を上げた義母が、両手を振り上げ、殴り掛かってきた。

涙と洟で顔をぐちゃぐちゃにし、何かをわめきながら、私を殴ろうとしている。

何を言っているのかは、全くわからない。

ばたつかせる手を払いながら、私は義母を抱きかかえ、居間のソファに運んだ。

洗面所でタオルを固くしぼり、乾いたタオル2、3枚とともに、居間に戻った。

嫌がる義母の顔を無理矢理上に向け、濡れタオルで拭いた。

終わると義母は私に背中を向け、ソファの背もたれの方を向いてまた泣き始めた。

ソファの前にあぐらをかいた私は、そんな義母を見守りながら、やさしく背を撫で続けた。

30分ぐらいそうしていただろうか。

やがて、泣き疲れた義母が体の向きを変え、上を向いた。

泣きはらした真っ赤な目を私に向け、『あっかんべぇ?』と、舌を出し、笑った。

そして・・・・・・

「嫌いっ。大っ嫌い。浩二さんなんか、大っ嫌いよ」

これ以上の意地悪をするつもりはなかった。

義母の両肩に手をかけ、抱き寄せた。

素直だった。

ゆっくりと顔を近づけた。

目をつむろうとする義母。

「だめっ、義母さん。目、開けてっ!しっかり僕の顔、見てっ!」

「いや、はずかしい」

密やかに、義母がささやく。

吐息が漏れる。

熱い。

その口を覆うように、唇を重ねた。

舌を絡めあいながら、義母は両手を背中にまわし、私を力一杯抱きしめた。

義母・奈緒子45歳、私・浩二40歳。

その日、私たちは『初めての夜』を共有した。

といっても、ごく自然に、というわけではなかった。

奈緒子が、最後の一線を越えるのを拒むかのように、処女のように恥じらい、身を固く閉じたのだ。

無理もなかった。

22歳で娘・美津子を生んだものの、乳離れしないうちに、夫を事故で失った。

乳飲み子を抱えながら、奈緒子は家業の生花店を切り盛りした。

繁華街・歓楽街の中にある花屋さん。

お客はスナックやバー、クラブ、そこへ通う酔客たちだ。

夕方店を開き、閉めるのは夜中。

朝早くには市場へ仕入れにでかけなければならない。

きつい仕事だけに、店員の入れ替わりも激しい。

そんな中で、20年余り、一心に働いて店を会社組織にまで発展させ、美津子を育て上げた。

『男』を求める余裕すらなく、体も『女』を忘れていたに違いない。

風呂から上がると、義母の部屋に布団が2つ、並べて敷かれていた。

台所の方から義母が声をかけた。

「お布団、私の部屋に敷いたわ。よかったかしら!?」

「ああ、いいよ。でも、2つもいらないんじゃないの?」

「だってぇ?2人用のお布団じゃないし、最初から1つだけだと、いかにも、って感じじゃない!?」

「いかにも!って何?」

「え?っ?お休みするんじゃなくて、なんか『やりますっ』だけみたいな……」

「わっ、義母さん、エロっ!考え過ぎだよ。だれが見てるわけでもないのに!!!」

「そりゃそうだけど、私の気持ちの問題。いいわ。はいっ、ビールここ置いとくから、飲みながら待ってて。私、急いでシャワー使ってくる」

10分・・・・・20分・・・・・・・・30分・・・・

私が焦れ始めたころ、濡れた髪をタオルで包んだ義母が戻ってきた。

「あら、もうお布団に入ってたの」

居間のソファに座り、ゆっくりと髪を拭き始めた。

ペニスは『初夜』への期待で、義母が風呂へ入った直後から、ギンギン、最大限に勃起した状態が続いていた。

「義母さん、早くおいで、僕、もう、我慢できないっ。早く、来てっ!」

義母は、隣の布団の上に、ちょこんという感じで座った。

まだ髪を拭いている。何か、躊躇しているようにも見える。

待ちきれない私は、上半身を起こし、義母の手をつかんで私の布団に引きずり込んだ。

あまりに唐突で、荒々しかったのだろう。

義母は、イヤッ、と小さく言って全身を縮めた。

構わず、私は義母を押さえつけた。

義母の抵抗が止まった。

が、両手を胸の前で交差させ、両足をピッチリとくっつけ、固く閉じている。

目もしっかりと閉じ、歯を食いしばっている。

小刻みに震えている。

怒張していたペニスの緊張が、一瞬、緩んだ。

何を躊躇し、何を怖がっているんだろう?

やはり娘の美津子のことが頭から離れないのだろうか?

そう言えば、お風呂もいつも以上に長かった。

気持ちの整理をつけようとしていたのだろうか?

やりたい一心の気持ちが和らぎ、、私は優しく義母を抱きしめた。

軽いキスを繰り返しながら、耳元でささやいた。

「義母さん、こわがらないで!僕と義母さんの『初夜』だよ。

これから2人のしあわせが始まるんだよ。

だから、何も考えないで、きょうは2人だけの世界で過ごそっ!!安心して、全部、僕にまかせて、ネッ!!」

わずかに緊張を解いた義母が、両手を私の背中にまわし、しがみつくように抱きついてきた。

しかし、両足は固く閉じたままだ。

パジャマの上から股間を押さえた。

ハッと全身を強ばらせ、私の手首をつかんで、動きを遮ろうとすろ。

「お願い、浩二さん、電気、消してっ。暗くして、お願い!!」

豆球の灯りだけを残して、義母に寄り添った。

片方の手を、素早くパンティの下に滑り込ませた。

「あ?っ、いっやぁ」

義母は体をよじって、私を押しのけようとする。

力づくで手を差し入れ、恥丘を手の平で包んだ。

その瞬間、すべてがわかった。

義母のそこには、毛がなかった。

成熟した女性が備えているはずの大陰唇のビラビラの感触も希薄だった。

1本の溝があるだけの、少女のような性器。

「義母は、無毛ということに30年間コンプレックスを抱き続けてきた。

だからなんだ。最後の一線を越えようという時になって、あんなに固まってしまったのは。俺に知られると嫌われるかも、と心配だったんだ」

すべてを理解すると同時に、私のペニスは再び瞬時にさっきまでの元気を取り戻した。

無毛の性器は、私の究極の願望。

まさか本当にこうして目の当たりにできるとは、思ってもみなかったことだ。

そうした思いを義母に伝えるには、時間がなかった。

もう、ペニスがプルプル震えている。

義母の足元にまわり、急いでパンティとパジャマをはぎ取った。

義母は両手で顔を覆っている。

両足の膝の裏に手を添え、グイッと持ち上げて、M字型に大きく開いた。

指に唾液を落とし、義母の性器に塗る。2回、3回・・・・

濡れ具合を確かめる余裕もなく、私は溝の中心にあてがったペニスを片手で支え、全体重を乗せた。

挿入、といったものではなかった。

メリッ、グッ、グイッ、グッ、グイ?ッ

ねじ込む、めり込ませる。そんな感じだった。

義母は顔を歪めて、何かに必死に耐えていた。

開いた口から、声が漏れる。

「あ?っ、あっ、い、いっ、痛っい」

「えっ?痛いの、義母さん?」

「うっ、ううん、だ、だい、じょう、ぶ、よっ」

子宮口に突き当たった。

それだけで、限界だった。

出したり入れたりを繰り返す余力は残っていなかった。

「か、義母さん、ごめん。だ、っめっ、だ、僕。もう、出るんだよぉ。がまんできないっ。ごめん、義母さん。ア…ヒャッ、出っっっる…」

奥へ突っ込んだだけで射精するという『超特急』は、初めての経験だ。

「ごめ・ん。アッという間に出ちゃった。ごめんね、義母さん、僕だけイッて」

「うううんっ、いいのよ、気にしなくて。浩ちゃん、よっぽど溜まってたのよね!」

「でも、義母さんを先に1回イカせてから、2回目で僕も一緒にイキたかった。なのに、僕だけ、超特急で・・・」

「気にしないでいいのっ!!私たちの年代の『初夜』って、そういうものよ!

男の方は、はやる気持ちを抑えきれない。女の方は、恥ずかしい、こわいっていう気持ちから、なかなか抜け出せない。ねっ、そうでしょっ!!」

「ははっ、そうだね。でも、次からはきっと大丈夫だよ、もう。だから、義母さんも、恥ずかしがらないで!!」

「そう、ね」

気のせいか、義母の声が沈んだ。

畳みかけるように言った。

「どうして、さっき、入れると同時に出たんだと思う?」

「美津子があんな事故にあってから、1カ月以上、なにもなかったからでしょ?」

「違う。違うんだよ、本当は・・。義母さん。本当はね」

「何なの?本当って!」

「義母さん、怒っちゃダメだよ。本当はぁ、義母さんがあの時、僕の理想の女性だってわかったから。

まさか実際にそんな女性と巡り会えるなんて考えていなかったから、義母さんがそうだとわかって、体が勝手に反応して・・・」

「だから、何なの?」

「義母さんのあそこに、ね、毛がないってこと・・・・・ビラビラもなくって、ちっちゃい女の子みたいな性器だってこと」

言うと同時に、両腕で強く義母を抱きしめた。

義母がまた泣き出すのではないかと思ったのだ。
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